投資信託の分配金には2種類あります。特別分配金と普通分配金です。
投資信託をお持ちのかたならおそらくどなたも思うのが、
「特別分配金」と「普通分配金」ってどう違うの?
どんな場合に特別分配金になったり、普通分配金になったりするの?
ということだと思います。
ざっくばらんに言えば、
投信の運用がうまくいっていて利益が出ているときの分配金が普通分配金です。
特別分配金になるか普通分配金になるかは購入日による
特別分配金とは、その別名である「元本払戻金」の通りです。払ったお金が戻ってくるということです。
追加型の投資信託は、いつでもだれでも売買ができるものです。何年も前から投資している人も、直前にそれこそ分配金目的で買ったという人も同じ権利が得られるようにということで現状の制度になっています。詳しくは楽天証券の解説がわかりやすいと思います。
分配金が、特別分配金になるのか普通分配金になるかは購入するタイミングによって人それぞれ異なります。
購入時の個別元本が基準
特別分配金になるか普通分配金になるかは、購入時の個別元本で決まります。取引報告書に「個別元本」という項目がありませんか?最初は、投資信託が約定したときの基準価額が相当します。
分配落ち後の基準価額との差によって普通分配金になったり、特別分配金になったり、両方の分配金になったりします。
(1)分配落ち後の基準価額>個別元本のとき
すべて普通分配金になります。分配落ちのときに分配金分がボコっと下がりますが、それでも購入時(あるいは前回の分配落ちのとき)より基準価額が高いので気持ちもよいかと思います。
分配落ち後の基準価額=個別元本のときもこの場合になります。ちょうど分配金分だけ利益が出ていることになります。
(2)分配落ち後の基準価額<個別元本のとき
「個別元本から分配落ち後の基準価額を引いたもの」が特別分配金になります。その差が分配金全体より少ない場合は、普通分配金が混ざります。
その差が分配金全体より大きい場合は、すべて特別分配金になります。
そして、注意しておきたいのは、特別分配金の分だけ個別元本が減るということです。
次回の分配金の計算には、今回減った個別元本が基準になります。
言葉だけですとわかりにくいとも思いますので、具体例を表で作ってみました。
基準価額10,000円で購入した投信の分配金が200円出ました!
これだけ聞くとめっちゃ儲かりそうです。「このまま1年続けば2400円だから年24パーセントじゃん」って思いません?(私は単純なのかそう思ってしまいました(笑))
分配金が200円出ても利益が出ているとは限りません。
儲かった! | ほどほど | 損になってる | |
個別元本(a) | 10000円 | 10000円 | 10000円 |
分配落ち後の基準価額(b) | 10000円 | 9850円 | 9700円 |
個別元本との差(b)-(a) | 0円 | -150円 | -300円 |
特別分配金 | 0円 | 150円 | 200円 |
普通分配金 | 200円 | 50円 | 0円 |
損益 | 200円 | 50円 | -100円 |
新たな個別元本 | 10000円 | 9850円 | 9800円 |
この表のように200円分配金が出ても儲かっているとは限りません。利益が出ていなくても分配金は出ます。
200円分配金が出ても基準価額が9800未満になると投資信託そのもののパフォーマンスはマイナスということです。
特別分配金は、特別に良い分配金ではなく、好調ではなく利益はないけど元本から払い戻す特別な分配金ということです。
なお、上の表には購入時の手数料や普通分配金にかかる税金などは一切考慮していません。大手証券の場合は3パーセント程度の買付手数料がかかることが多いので、初めて分配金をもらったときには「アレ?」っと思うことのほうが多いのではないでしょうか。
それでも、放置していても毎月分配金が出るというのはありがたいシステムだと思います。
仕組みを今一度おさらいして、どんな投資信託にするか証券マンだけでなく、いろいろな意見を参考によく考えて投資したいものです。
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