ドローダウンとは?つみたてNISAを始める前に覚悟を!

最高値を更新して好調な米国市場の影響や、老後2000万円問題もあって投資を始めた人やこれから始めようという人も多いのではないでしょうか?

そのなかで一番王道といえそうなのが、つみたてNISAを使ったインデックスファンドの自動積立です。

つみたてNISAは自動で勝手に買い付けてくれるのですが(もちろん積立を止めることも、積み立てた投資信託を売却することもできますが)、どのファンドを選んでも、投資なのでマイナスになるときがあります。

マイナスになったときに、実際に積立投資を続けていくことができるのか?が大きなポイントになります。

ここでは、どれくらいマイナスになるかを測る数値であるドローダウンを用いて、実際どれくらいマイナスを抱える可能性があるのか解説していきます。

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ドローダウンとは?

ドローダウンとは、資産が一番多いときからどれくらい下がったかを表す数値です。

最大1000万円あった資産が600万円になると

たとえば、500万円からはじめた投資で資産が倍になって1,000万円になったとします。

しかし、そのあと減って600万円になった場合のドローダウンは、400万円です。パーセントに直すと基準が最大資産の1,000万円なので40%です。

マイナスをつけて、-400万円とか-40%と言うこともあります。

せっかく倍になったのに、400万円も含み益が消えるということが、投資では普通に起こり得ます。

実際の銘柄でシミュレーションしてみると

実際の投資信託で、バックテストという過去データを使ったシミュレーションをしてみます。

ひふみプラスの最大ドローダウンは20.7%

つみたてNISAで購入可能な投資信託のなかから「ひふみプラス」を選んで、シミュレーションをしてみました。

2012年の5月末から毎月1万円ずつ、2019年11月末までひふみプラスを買い続けることにすると、

  • 買付総額(元金) 910,000円
  • 総買付口数 390,591口
  • 資産残高 1,570,372円
  • 含み損益 +660,372円
  • 損益率 +72.57% (年平均 19.35%)

となります。この数値だけみると文句のつけようがありません。

元金と資産残高、そしてドローダウンの関係は下図のようになります。

ドローダウンを円ではなくパーセントにして、この間のひふみプラスの基準価額推移とあわせると

のように、きれいな右肩上がりになります。

しかし、このきれいな右上がりでも、赤い折れ線の基準価額が4万円台から3万5千円を割り込んだところで、黄色の折れ線のドローダウンが20%ほどになっていることがわかります。

3か月前にあった150万の残高から30万目減り

2018年の12月末がこのときなのですが、これが最大ドローダウンになります。

3か月前の9月末に、茶色の折れ線の資産残高が約150万円と最高を記録しますが、そのあと30万円ほど目減りしたことになります。

もちろん、この間も1万円ずつ投資していますが、それにもかかわらず30万円、すなわち20パーセントほどのドローダウンを被っています。

為替の影響も

米国の株式などに投資する投資信託であれば、為替の影響も受けます。

つみたてNISAで買えるファンドのなかにも米国に投資するものがないかなと探してみると、最近運用がはじまったばかりのものが圧倒的でバックテストのやりようがないなぁと思っていたら、バリーマンショック以前から運用されているものがありました。

それが、 DCニッセイ ワールドセレクトF です。

2003年の1月から運用されているこのバランス型の投資信託には、債券重視などいくつかコースがあるのですが、国内株式40%、国内債券15%、外国株式30%、外国債券10%、短期金融資産5%を基本投資比率とする株式重視型でシミュレーションしてみました。

DCニッセイ ワールドセレクトF(株式重視)

まず、DCニッセイ ワールドセレクトF(株式重視)の基準価額の推移をグラフにすると

結果的には右上がりのグラフなので、「リーマンショックも安く買えるからいいじゃん」と言えなくはないです。

2003年1月末から2019年11月末まで1万円ずつ買い続けると

  • 買付総額 2,030,000円
  • 総買付口数 1,372,554口
  • 残高 3,449,778円
  • 含み損益 +1,419,778円
  • 損益率 +69.94% (年平均 8.31%)

これも素晴らしい数値になります。株式重視とはいえ、バランス型のファンドでこれくらいの数値が出るなら十分だと思います。

最大ドローダウンは、28.4%

毎月1万円ずつ積み立てた場合の元金と資産残高、そしてドローダウンの関係は下図のようになります。

基準価額とパーセントで表したときのドローダウンの関係は、下図のようになります。

赤の折れ線の基準価額が2007年初めに1万7千円のピークを付けたあとに、2008年9月のリーマンショックを挟んで2009年2月に1万円を割ったところで、黄色の折れ線のドローダウンが28.4%を記録しています。

ただ、その後も10%ほどのドローダウンは常に起こりうることも、黄色の折れ線グラフをみるとわかります。

毎月積み立て続けると徐々に基準価額と資産残高の相関関係が強まるので、基準価額が高いところから10%ほど下がるとドローダウンも10%ほど生じることになります。

まとめ

つみたてNISAをはじめとする投資をこれから始めようというかたは、投資にはドローダウンが必ずあるということを抑えておきましょう。

いずれ右肩上がりになると確信するのであれば、ドローダウンの続くときも辛抱強く積み立てねばなりません。

あらかじめ、どれくらいのドローダウンがありうるのかは計算できなくても、基準価額の推移を見ることでざっくりと知ることができます。基準価額の高値を基準に何パーセント下がったかを計算するとそれっぽい数値になります。

最初から、どれくらいのドローダウンがありうるのかを知ることによって、大暴落がきてもある程度落ち着いて投資を続けることができるのではないでしょうか?

さらに課題(為替が絡むともっとたいへん)

今回のシミュレーションは、米国に投資するものであっても円で取引できるものでした。

つみたてNISAとは離れて、米国株やETFに投資する場合はドル円の為替レートも大きく影響します。

特に「安全のために」債券に投資しているつもりでも、為替レートが動くとその分ダイレクトに変動するので、しっかり注意しておくことが望ましいと考えます。

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