投資信託の騰落率。まず読み方を確認しておくと「とうらくりつ」です。
株式などで暴騰や暴落というのがありますが、購入したときの基準価額を基準にして、投資信託の価値がどれだけ変化したかというものです。
式で表すと
【騰落率(%)】=【購入時との基準価額の差(円)】÷【購入したときの基準価額(円)】×100
です。
「騰落」とは上がり下がりを意味します。株価や為替で使われる「急騰」や「急落」のほうが一般的かもしれません。
【関連記事】
・毎月分配型の騰落率計算方法(例:フィデリティUSリートファンドB)
騰落率は年平均ではない
なぜ数字のマジックに惑わされないようにというタイトルをつけたかというと、騰落率は年平均の値ではなく、全期間の数値になるからです。
数字で例を挙げてみます。3年間で基準価額が1万円から2万円になった場合。分配金はゼロとします。騰落率はさて、何パーセントになるでしょうか?
騰落率は
(2万円-1万円)/1万円=1
100を掛けてパーセントに直して、騰落率100パーセントとなります(もし分配金が2000円あったとすると、騰落率は120パーセントとなります)。
1年あたり平均すると33.3パーセントですが、「3年間騰落率100パーセント」と言った表現がまかり通って、いや、一般的なようです。
具体例を見てみましょう。
野村証券ではつみたてNISAでのみ購入可能な「ひふみプラス」を例にしてみます。2018年8月末の段階で、純資産総額で4位(それ以外のベスト5の銘柄は資金流出が続いているので、1位になる日も間近?)。
「ひふみプラス」という投信銘柄名のところがリンクになっているのでクリックすると、2018年08月末基準の騰落率が、6か月、1年、3年、設定来の4種類表示されます。
騰落率を計算してみよう
数値が一致するか、実際に計算してみましょう。
計算に必要なデータはモーニングスターでダウンロード
計算に必要なデータは、モーニングスターのひふみプラスのダウンロードページから入手できます。
6か月騰落率の計算
2018年8月末31日の基準価額は41,720円。
その6か月前の末日2018年2月28日の基準価額は41,857円なので、
【6か月騰落率】=(【直近の基準価額】-【6か月前の基準価額】)×100/【6か月前の基準価額】
=(41,720-41,857)×100/41,857 = -0.327%
小数第3位を四捨五入して、-0.33% になります。年率だと、四捨五入する前の数字を2倍して -0.65%。
1年騰落率の計算
1年騰落率も計算してみます。引いたり、割ったりするのは1年前の2017年8月末31日の基準価額35,845円が基準になります。
【1年騰落率】=(【直近の基準価額】-【1年前の基準価額】)×100/【1年前の基準価額】
=(41,720-35,845)×100/35,845 = 16.390%
小数第3位を四捨五入して、16.39% になります。
3年騰落率の計算
3年騰落率も計算してみます。引いたり、割ったりするのは1年前の2015年8月末31日の基準価額26,486円が基準になります。
【3年騰落率】=(【直近の基準価額】-【3年前の基準価額】)×100/【3年前の基準価額】
=(41,720-26,486)×100/26,486 = 57.517%
小数第3位を四捨五入して、57.52% になります。年率だと、四捨五入する前の数字を3で割って 19.17%(単純に3で割っては正しくないかもしれないが)。
設定来騰落率の計算
設定来騰落率も計算してみます。引いたり、割ったりするのは10,000円。投資信託はおそらく全部10,000円からのスタート。設定日は、2012年5月28日です。
【設定来騰落率】=(【直近の基準価額】- 10,000)×100/10,000
=(41,720-10,000)×100/10,000 = 317.200%
小数第3位を四捨五入すると、317.20% になります。年率だと、2018年8月と2012年5月で6年3か月、すなわち6.25年で割って 50.75%(これも単純に割っては正しくないかもしれないが)。
野村インデックスファンド・日経225 愛称:Funds-i 日経225の騰落率もYouTube動画内で計算してみましたので、よろしければこちらもご参考に。
騰落率をみるなら価格.com
騰落率は、どれくらい上昇したか下落したかを示す指標ではあるのですが、その期間がいろいろあるので、預金などの利率や利回りと同じ感覚でいると混乱する可能性があります。
利率も利回りも1年を基準にしているので、騰落率も1年あたりの数値に直せばもっとわかりやすくなると思うのですが、ホームページでも1年あたりの数字に直しているところがあります。
それが価格.comです。価格.comのひふみプラスのページには、基準価格の推移を示すチャートの右側に
のような表があって、騰落率を1年あたりの数字・年率に換算したものが併記されています。これがあるとないのとではまったく違うと感じるのは私だけでしょうか?(3年騰落率の年換算値が3で割ったものではないのは複利計算のためで、14.62%を複利運用すると3年で50.57%増えます)
いずれにせよ、騰落率にこだわらり過ぎずにチャートや純資産額の推移などを見るのが、個人的には良いかとも思います。
あと、似たような数値にトータルリターンがあります(というか、騰落率との違いがわかりませんm(_ _)m)。
トータルリターンならモーニングスターやSBI証券
トータルリターンについては、モーニングスターやSBI証券などが個人的には見やすいです。モーニングスターのひふみプラスのページには、
1年、3年、5年、10年に関して年率で表示されるようになっています。
のように棒グラフつきで掲載されています。
計算が合わない部分が残ったままですが、ポイントは騰落率は年率ではないということ。面倒とも思いますが、一度騰落率もご自身で計算してみてはいかがでしょう?
【関連記事】投資信託の評価損益とトータルリターンの違いは?
コメント